【株式投資を始めよう・第1章】株式って何だろう?|大航海時代から学ぶ投資の本質

株式投資を始めよう!第1章「株式って何だろう?」初心者向け株式投資の基礎を解説するイラスト 株式投資を始めよう!

はじめに|株式投資って、ギャンブルなの?

「株式投資を始めたいけれど、そもそも株って何?」

「株価が上がるか下がるかを予想して、お金を儲けるものじゃないの?」

株式投資を経験したことがない方には、そんな疑問があるかもしれません。

私は2000年頃から株式投資を続けていますが、最初から投資について十分な知識があったわけではありません。失敗も数多く経験してきました。

そんな私が、これから株式投資を始める方に最初に知ってほしいことがあります。それは、株価の予想でも、儲かる銘柄の探し方でもありません。

そもそも株式とは何なのか。そして、なぜ人は株式に投資するのか。その答えを考えるために、少し歴史をさかのぼってみましょう。

1.株式の原点は、大航海時代にある

今から400年以上前。

ヨーロッパの商人たちは、遠く離れたアジアとの交易によって、大きな利益を得ようとしていました。

当時、香辛料などはヨーロッパで高い価値を持つ商品でした。しかし、遠い国まで船を出すには莫大な資金が必要です。船を用意し、船員を雇い、食料や水を積み込み、長い航海に備えなければなりません。

しかも、成功する保証はありません。

嵐、海賊、病気、戦争。無事に帰ってこられなければ、投じた資金を失うこともあります。

そこで利用されたのが、多くの人がお金を出し合い、事業の成果とリスクを分かち合う仕組みでした。

航海が成功して利益が出れば、出資者にもその成果を分配する。反対に失敗すれば、出資したお金を失う可能性もある。

こうした共同出資の考え方は、現代の株式投資につながっています。

複数の人がお金を出し合い、事業の利益や損失を分け合う共同出資の仕組みを説明した図

オランダ東インド会社の登場

1602年、オランダで東インド会社が設立されました。

航海ごとに資金を集める仕組みは以前から存在しましたが、オランダ東インド会社は、継続的に事業を営む会社に多くの人が出資し、その持ち分を売買できる仕組みを発展させました。

これは、現代の株式会社や株式市場につながる重要な出来事でした。つまり、一度の航海だけでなく、会社そのものの将来に出資する仕組みが発展したのです。

オランダ東インド会社によって、株式会社の基礎が築かれたことを説明する図

2.あなたなら、どちらの船に出資しますか?

さて、少し想像してみてください。

港に二隻の交易船が停泊しています。どちらも遠い国への航海を計画し、出資者を募集しています。

A船は、堅実な航海を目指す船。船長は経験豊富で、船員も熟練者が中心です。航路には実績があり、比較的安定した成果を期待できそうです。

B船は、新しい航路に挑戦する船。船長は若く、新しい技術を積極的に取り入れています。未開拓の地域へ向かうため危険は大きいものの、成功すれば大きな利益を得られる可能性があります。

船はどれも同じではなく、その特徴があり、どれを選択することが大切か?株式においても同様であることを説明した図

さて、あなたならどちらの船に出資しますか?

私は、どちらを選んでも合理的な投資判断になり得ると思います。

安定性を重視するならA船。大きなリスクを引き受け、新しい可能性に期待するならB船。人によって、投資先の選択が違うのは当然のことです。

ただし、ここでもう一つ考えてほしいことがあります。

それは、いくらで出資できるのか、ということです。

どれほど優秀なA船でも、出資条件があまりに高ければ、良い投資になるとは限りません。

反対に、リスクの大きなB船でも、そのリスクに見合った条件で出資できるなら、魅力的な投資になる可能性があります。

これは現代の株式投資でも同じです。

良い会社と、良い投資は必ずしも同じではありません。企業の質、成長の可能性、リスク、そして購入価格。これらを総合的に判断することが大切なのです。

3.100枚の金貨をどう使いますか?

もう一つ質問です。

あなたの手元に100枚の金貨があったとします。A船とB船のどちらかに出資できるとしたら、どうしますか?

A船に100枚すべてを託す。

B船に100枚すべてを託す。

あるいは、A船に70枚、B船に30枚という方法もあります。

大航海時代の船に例えて、分散投資の考え方を説明した図

一隻にすべての資金を集中させるより、異なる航海に資金を分けることで、一つの失敗による影響を抑えられる場合があります。

これが、現代の株式投資でいう「分散投資」の基本的な考え方です。

もちろん、二隻とも同じ嵐に遭う可能性はあります。分散すれば必ず安全になる、というわけではありません。

また、A船とB船に何枚ずつ出資するのが正解かも、一概には言えません。

大切なのは、自分がどのようなリスクを引き受けるのかを理解し、資金の配分を考えることです。

4.船長や船員は、現代の会社では誰にあたる?

ここまでの話を、現代の企業に置き換えてみましょう。

大航海時代の船長は、現代の会社では経営者です。船員は従業員、船の性能は技術力や設備、航海の目的地は、その会社が目指す市場や事業の方向性にあたります。

大航海時代の船と現代の企業には類似点があることを説明した図

私は株式を購入するとき、会社の業績や事業内容だけでなく、経営者や人材についても考えるようにしています。

どんなに優れた設備や技術があっても、それを生かすのは人だからです。

また、現在の業績が良くても、時代の変化に対応できなければ、将来も同じように利益を上げられるとは限りません。

だからこそ、その会社がどこへ向かっているのか。そして、その航海を任せられる人たちなのかを考えたいのです。これは、私自身が長年の株式投資を通じて大切にしてきた考え方でもあります。

5.株式投資は、単なるギャンブルではない

株式投資には、不確実性があります。

優秀な船長でも、想定外の嵐に遭うかもしれません。堅実なA船が失敗し、挑戦的なB船が大成功することもあるでしょう。

それでも、私は株式投資そのものをギャンブルだとは考えていません。

なぜなら、株式の向こう側には、実際に事業を営む会社があるからです。

工場で製品を造る人。商品やサービスを販売する人。新しい技術を研究する人。海外の市場を開拓する人。

そうした人々の活動によって、企業は利益を生み、成長していきます。株式投資は、そうした企業活動の成果とリスクに、株主として参加する仕組みです。

もちろん、株価の値動きだけを追いかけ、十分な判断もせずに売買を繰り返せば、ギャンブルに近い投資になってしまうこともあります。

しかし、企業の事業内容や将来性を調べ、納得して資金を託すことは、単なる運任せとは異なるものだと思います。

私は、株式投資とは「どの船が勝つか」にお金を賭けることではなく、「どの船の未来に、自分の資金を託したいか」を考えることだと思っています。そして、たとえ判断が間違っていたとしても、致命的な損失を負わないようにすること。

それも投資を長く続けるうえで大切です。

おわりに|あなたなら、どの船の未来に出資しますか?

大航海時代の商人たちは、遠い海の向こうに何が待っているのか、確実には分かりませんでした。

それでも、船長の経験を調べ、船の状態を確かめ、航海計画を検討して出資しました。

現代の株式投資も、本質的には似ています。

その会社は何をしているのか。どんな人たちが働いているのか。どのような強みを持っているのか。そして、これからどこへ向かおうとしているのか。

そうしたことを考えながら、自分のお金を託す会社を選んでいきます。

株式投資とは、企業の未来に参加すること。これが、私が初心者の方に最初にお伝えしたい考え方です。

では、株式を保有する「株主」とは、具体的にどのような立場なのでしょうか?株主には、どんな権利があるのでしょうか?

次の章では、株式会社の仕組みと、株主になることの意味を説明していきます。

次回:第2章「株主になるとは?|会社のオーナーになるということ」

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