【第6回】配当金が増えると、投資の景色はどう変わるのか|配当がくれる「待つ力」

配当金が増えることで投資の景色が変わることを表現した、第6回記事のアイキャッチ画像 配当・資産形成

配当金が増えると、投資の景色はどう変わるのか

私は株式投資をする際、配当をかなり重視しています。

ただし、

「とにかく配当利回りの高い株を買う」

という意味ではありません。

むしろ、少し違います。

私が重視しているのは、

安定的に配当を出し続けられる会社であること。

そしてできれば、その配当を少しずつ増やしてくれる会社であることです。

長く株式投資を続けてきて、配当には単なる現金収入以上の意味があると感じるようになりました。

配当があると、株価下落に耐えやすくなる

株を持っていれば、含み損になることは普通にあります。

どれだけ調べて買っても、株価は自分の思い通りには動きません。

買った翌日から下がることだってあります。

そんなとき、配当がある会社とない会社では、私自身の心理状態がかなり違います。

例えば配当利回りが5%ある会社なら、かなり大ざっぱな考え方ですが、

「まあ、20年持っていれば配当だけで投資額に相当する金額になるじゃないか」

くらいに考えることがあります。

もちろん現実には税金もありますし、20年間同じ配当が続く保証もありません。株価そのものが下落する可能性もあります。

ですから、本当に「20年持てば絶対に損をしない」という意味ではありません。

それでも、株価が下落しているときに、

「この会社を持っている限り、配当は入ってくる」

と思えることは、長期投資を続けるうえで大きな支えになります。

投資には、数字だけではなく心理もあります。

私は配当を、その心理を安定させてくれるものの一つだと思っています。

だからといって、高配当株を追いかけない

では配当利回りが高ければ高いほどいいのか。

私はそうは考えていません。

仮に配当利回り5%の株を見つけても、株価は一日や数日の値動きで5%くらい動くことがあります。

つまり、配当利回りを0.5%や1%余分に取るために、無理に高配当株を探すことに、それほど大きな意味があるとは思っていません。

それよりも重要なのは、

「なぜ、この会社の配当利回りは高いのか」

です。

会社が株主還元を重視していて、安定した利益の中から意図的に高い配当を出しているのか。

あるいは、成長期待が乏しく、株価が上がらない結果として配当利回りが高くなっているのか。

業績に問題があり株価が急落したことで、表面上だけ高配当になっているのか。

同じ「配当利回り5%」でも、意味はまったく違います。

高配当という数字だけを見て株を買うのではなく、

その高配当が生まれている理由を、自分なりに理解する。

これは大切だと思っています。

権利落ちの翌日にも、その株を持っていたいか

高配当株を買うときに、もう一つ私が考えることがあります。

権利落ちです。

配当を受け取る権利を得た後には、理論上その配当分だけ企業価値から現金が流出することになりますし、実際に株価が下落することもあります。

だから私は、

「配当をもらった翌日に株価が下がっても、この会社を持っていたいか」

と考えます。

答えが「イエス」でなければ、配当だけを目的に買うことには慎重になります。

私は、配当金そのものより、

配当を払い続けられる会社を長く所有すること

の方が重要だと思っているからです。

配当金は、再投資する。でも、使ってもいい

私の場合、受け取った配当金は基本的に再投資してきました。

そこで一つ、長年続けてきた小さな工夫があります。

配当金の受取方法を、銀行口座への振込ではなく、できるだけ証券口座の中で受け取るようにしていることです。

理由は二つあります。

一つは、配当額を把握しやすいから。

もう一つは、

使ってしまわないためです。

銀行口座に振り込まれると、給与や生活資金と一緒になります。

そうすると、いつの間にか生活費や買い物に使ってしまうかもしれません。

証券口座の中に入ってくれば、

「これは次の株を買うためのお金」

と考えやすい。

私にとって配当は、消費するお金というより、次の株を生み出すための種銭でした。

配当を受け取る。

その配当で株を買う。

その株から、また配当が生まれる。

さらに企業が増配すれば、翌年の配当はもっと増える。

この循環を長く続けてきました。

配当金は、使ってもいいと思う

もっとも、

「配当金は絶対に再投資しなければならない」

とは思いません。

投資を続けるためには、楽しみも必要です。

配当金で旅行へ行く。

美味しいものを食べる。

趣味に使う。

それで、

「また来年も配当をもらえるように投資を続けよう」

と思えるのであれば、それも立派な使い方だと思います。(ちなみに私は車を買いました!)

資産形成は人生の目的ではありません。

お金を使わずに死ぬまで増やし続けることが正解とも思いません。

私自身も、少しずつ配当の使い方が変わってきました。

今年からは、受け取った配当金の半分程度を住宅ローンの繰上げ返済に回し、残り半分を株式へ再投資するようにしています。

資産を増やすだけでなく、負債を減らす。

今の自分には、そのバランスがちょうどいいと考えています。

配当金が「自分の分身」になっていく

配当額が小さいうちは、

「今年はこれだけもらえた」

という楽しみでした。

ところが金額が大きくなってくると、感覚が少し変わります。

私の税引後の年間配当は、

2021年 約360万円
2022年 約450万円
2023年 約580万円
2024年 約700万円
2025年 約830万円

と増えてきました。

そして、このまま順調なら来年には年間1,000万円を超える可能性も見えてきました。

ここまで来ると、どうしても給与と比べて考えるようになります。

自分は毎日会社へ行って働いている。

ところが一方で、自分が長年買い集めてきた株式も、企業の中で働いている。

工場を動かす。

商品を売る。

資源を掘る。

サービスを提供する。

世界中で事業をする。

そして、そこで生まれた利益の一部が配当として私のところへ戻ってくる。

そう考えると、

「自分の分身が、あちこちの会社へ働きに行ってくれている」

ような感覚になります。

もちろん実際に働いているのは、その会社の社員の方々です。

株主は資本を提供しているだけです。

だからこそ、その利益の一部を配当として受け取れることには感謝しなければいけないと思います。

本当に面白いのは「増配」

私は高配当そのもの以上に、増配が好きです。

株を買ったときの配当利回りが3%だったとします。

その後、企業が成長して配当を何度も増やしてくれれば、自分が当初投資した金額に対する配当収入はどんどん大きくなります。

新しい高配当株を探し回らなくても、

持っている会社自身が高配当株へ育ってくれる。

これは長期投資の大きな魅力です。

現在の私のポートフォリオでも、2026年は増配となる銘柄が多数を占めています。

こういう状況を見ると、

「株価が上がった」

こととはまた違う嬉しさがあります。

企業が以前より多く稼ぎ、その成果を株主にも多く分配できるようになった。

これは、会社そのものが成長していることを実感できる瞬間だからです。

減配したらどうするか

もちろん、配当は約束されたものではありません。

経営環境が悪化すれば、減配することはあります。

私も、減配したから即座にすべて売却するとは限りません。

なぜ減配したのかを見ます。

一時的な要因なのか。

構造的に収益力が落ちているのか。

財務状態が悪化しているのか。

今後回復する可能性があるのか。

ただ経験上、減配に転じる会社というのは、ポートフォリオの中でもすでに業績や株価が冴えず、

「この会社、このままで大丈夫かな」

と感じ始めていることも少なくありません。

そういう場合には、私は思い切って別の会社へ資金を入れ替えることがあります。

一方で、無配まで転落するような会社は、私の長期保有先としてはかなり厳しく評価します。

安定的に利益を出し、株主へ還元する会社を持つ。

それが私の基本的な考えだからです。

配当は「待つ力」をくれる

長く株式投資をしていると、いつも株価が上がっているわけではありません。

半年下がることもある。

数年間、ほとんど動かないこともある。

そんなとき、配当がある。

その配当が少しずつ増えている。

それだけで、

「もう少し待ってみよう」

と思えます。

私は配当の最大の価値は、単なる利回りではなく、

投資家に『待つ力』を与えてくれること

なのではないかと思っています。

そして、その待っている時間の中で企業が成長すれば、配当も育つ。

その配当でまた株を買う。

やがて配当そのものが、もう一人の自分のように働き始める。

派手ではありません。

短期間で何倍にもなる話でもありません。

でも私は、この地味な循環が好きです。

株価が上がる日も、下がる日もある。

その間も企業は働いている。

そして利益の一部が、定期的に株主へ返ってくる。

配当とは、私にとって単なる「お金」ではなく、

企業と長く付き合っていくための、一つの『お守り』なのかもしれません。

奥野以道

タイトルとURLをコピーしました