【第5回】100銘柄以上持って分かった、分散投資のリアル|「当たり」と「外れ」が投資家を育てる

100銘柄以上保有して分かった分散投資のリアルを表現した分かれ道のアイキャッチ画像 投資の考え方

前回は、1億円を超えてから資産の増え方がどう変わったのかを書きました。

私は現在、100銘柄を超える株式を保有しています。

こう書くと、

「そんなに持つ必要があるのか」

と思う人もいるでしょう。

実際、私自身も最初から「100銘柄に分散しよう」と考えていたわけではありません。

結果として、増えていった。

その方が正確です。

銘柄が増えた理由は、分散投資ではなかった

私はもともと、会社という存在そのものが好きなのだと思います。

どんな会社が、どんな商品を作っているのか。

どんな技術を持っているのか。

どういう業界で競争しているのか。

どこで利益を上げているのか。

そういうことを調べるのが、昔からあまり苦になりません。

むしろ面白い。

そして、まだ持っていない会社で面白そうな企業を見つけると、

「この会社も少し持ってみたいな」

と思ってしまう。

少し大げさに言えば、トレーディングカードを集めるような感覚に近いところがあるのかもしれません。

もちろん、何でも買うわけではありません。

利益をきちんと上げていること。

これからも事業を続けていけそうなこと。

自分なりに「いい会社だ」と思えること。

そうした前提はあります。

そのうえで、保有していない会社の情報を積極的に取りに行き、

「これは面白そうだ」

と思えば、とりあえず100株だけ買ってみる。

そんなことを繰り返しているうちに、気がつけば100銘柄を超えていました。

100銘柄あっても、本当の意味で分散できているとは限らない

ここは、自分でも反省しているところです。

100銘柄以上を持っていると言えば、かなり分散されているように聞こえます。

しかし、銘柄数と資産配分は別の話です。

私がもともと大きく保有していたのは総合商社株でした。

そして、その商社株を基本的には売っていません。

そこへ100株ずつ別の会社を追加していったとしても、時価総額ベースで見れば総合商社群がまだポートフォリオの半分以上を占める。

つまり、

「100銘柄持っている=十分に分散されている」

とは言えないわけです。逆に言えば、総合商社の株をずっと過去から売らずに持ち続けていれば、それらの銘柄が成長して、いまだに半分以上を占めてしまっている、とも言えるかと思います。

分散投資を考えるなら、銘柄数ではなく、

どの業種に、どれくらいの金額を置いているのか

を見るべきだと思います。

これは100銘柄以上持ったからこそ、逆によく分かったことでもあります。

分散していて良かったと思う瞬間

それでも、いろいろな業種の株を持っていて良かったと思うことはあります。

相場全体が大きく下落する日です。

日経平均が大きく下がり、保有資産全体としてはかなりのマイナスになる。

そんな日でも、一銘柄ずつ見ていくと、不思議と上がっている株がいくつかあります。

ディフェンシブ銘柄だったり、

その日に好材料が出た会社だったり、

相場全体とは違う理由で買われている会社だったりします。

資産全体が大きく減っている日は、やはり気分のいいものではありません。

でも保有株一覧の中に、いくつか緑色のプラス表示がある。

それだけで、少し救われることがあります。

「ああ、全部が悪いわけではない」

と思える。

投資では、この心理的な効果も意外に大きいと思っています。

株主優待という、小さな楽しみ

もう一つ、銘柄数が増える理由になったのが株主優待です。

100株保有しているだけでも優待がもらえる会社はあります。

食品だったり、商品券だったり、自社製品だったりします。

金額にすれば、それほど大きなものではありません。

それでも家に帰ってポストを見ると、宅配便の不在票が入っている。

「あれ、今日はどこの会社からだろう」

と少しワクワクする。

これは今でもあります。

投資をすべて利回りだけで計算すれば、優待より配当の方が効率的という考え方もあるでしょう。

それも分かります。

でも私は、株主であることを実感できるという意味で、優待には数字では測れない楽しさがあると思っています。

数を持つと、「当たり」に出会うこともある

多くの会社を持っていると、ときどき予想以上に成長する会社に出会います。

長く保有しているうちに業績が大きく伸びる。

株価が大きく上がる。

自社株買いが発表される。

配当が増える。

そういう会社に巡り合うことがあります。

すべてを事前に予測することはできません。

だから、いいと思える会社を広く持っていることには、そうした成長企業に出会う機会を増やす面もあると思っています。

近年は企業側も資本効率や株主還元を以前より強く意識するようになり、自社株買いや増配に出会う機会も増えました。

長く持っていた会社が増配を発表したときは、単にお金が増えるだけでなく、

「持っていてよかったな」

という嬉しさがあります。

私は投資に、こういう感覚もあっていいと思っています。

「当たり」だけでなく、「外れ」からも会社を見る目が育つ

もちろん、たくさんの銘柄を持てば「当たり」に出会う一方で、外れることもあります。

思っていたほど業績が伸びない会社。

競争力が徐々に落ちていく会社。

株主還元に積極的ではない会社。

期待して買ったものの、時間が経つほど魅力を感じなくなる会社。

そういう銘柄も当然出てきます。

ただ、私はそれも無駄ではないと思っています。

むしろ、当たりと外れの両方を実際に保有して経験することで、

「良い会社とは、いったい何なのか」

を少しずつ体感的に学べるからです。

数字だけを見ていると、売上高や利益率、PER、PBRといった指標に目が行きます。

もちろん、それらは大切です。

しかし実際に株主として会社を何年も見ていると、

経営者がどんな判断をするのか。

逆風のときにどう対応するのか。

株主にどう向き合うのか。

成長投資と還元をどう両立するのか。

競争力を維持できるのか。

そうした数字だけでは分かりにくい部分も見えてきます。

そして、

「この会社はやはり強いな」

と思うこともあれば、

「大きい会社だけれど、必ずしも良い投資先とは言えないな」

と思うこともあります。

私は、多くの会社を保有してきたことで、こうした違いを頭ではなく実体験として学んできたように思います。

当たり銘柄は資産を増やしてくれます。

外れ銘柄は、会社を見る目を鍛えてくれる。

そう考えれば、どちらにも意味があります。

もちろん、外れによる損失が致命傷にならない範囲に抑えることが前提ですが、株式投資ではこうした小さな成功と失敗の積み重ね自体が、投資家としての経験になっていくのだと思います。

100銘柄持っていて大変ではないのか?|株主としての最低限の責任

よく聞かれそうなのが、

「100銘柄も持っていたら、管理できないのではないか」

ということです。

不思議なのですが、私はそれほど苦になりません。

「あれ、この会社持っていたっけ」

となることもほとんどありません。

おそらく会社そのものに興味があるからだと思います。

ただ、投資額が大きくなってきた今は、別の意味で責任を感じるようになりました。

株を持っている以上、株主です。

株主総会の通知が来れば目を通す。

議案を確認する。

そして議決権を行使する。

私は、これは株主としての一つの責任だと思っています。

選挙権を持っている人が選挙に参加するのと少し似ているかもしれません。

もちろん、100株しか持っていない株主が会社経営を動かせるわけではありません。

私一人の票など、会社全体から見ればほんのわずかです。

それでも、その会社から配当を受け取り、その会社の所有者の一人である以上、

「経営について何も見ない」

というのは、私自身はあまり好きではありません。

企業の成長を配当という形で分けてもらっている。

それなら、株主として最低限できることはしたい。

そんな気持ちがあります。

逆に言えば、株主総会の書類に目を通すことさえできないほど銘柄数が増えてしまうのであれば、私にとっては保有しすぎです。

その状態になったら、投資家として何かが違うと思います。

これからは、少し絞ることも考えている

これまで銘柄数は増える一方でした。

今後は、少し考え方を変えていこうと思っています。

同じ業界で似た会社を2社持っているなら、本当に両方必要なのか。

より競争力があり、収益力が高く、長く持ちたいと思える方へ寄せてもいいのではないか。

そう考えるようになりました。

100株だけ持っている銘柄は、今のポートフォリオ全体からすると収益への影響は非常に小さいものもあります。

だからといって、すべて整理するつもりもありません。

いい会社だと思う。

今後も持っていたい。

株主優待も楽しみ。

そして収益性にも特に問題がない。

そういう会社なら、おそらく私は100株でもそのまま持ち続けるでしょう。

効率だけを考えれば、もっと集中した方がいいのかもしれません。

でも、投資には効率だけではない楽しさもあると思っています。

分散投資は「銘柄数」だけでは測れない

100銘柄以上を持って分かったことがあります。

分散投資とは、単純に会社の数を増やせば完成するものではありません。

100銘柄持っていても、一つの業種に資産の半分以上が偏っていれば、リスクは残ります。

一方で、さまざまな会社を持つことで、相場が悪いときにも違う動きをする銘柄が出てくる。

優待が届く。

知らなかった会社を知る。

成長する企業に出会う。

そして、うまくいかなかった会社からも学ぶ。

そうした経験があります。

私にとって投資は、会社を知り、成長を見守る楽しみを得ること

私にとって株式投資は、単に数字を増やす作業ではありません。

会社を知り、その企業の一部を所有し、成長を見守ることでもあります。

そして、その中で、

「良い会社とは何か」

を少しずつ学んでいくことでもあります。

だから、これからポートフォリオを整理するとしても、

「最も効率のいい30銘柄に絞る」

ということだけを目標にはしないと思います。

収益性。

分散。

自分がその会社を持ちたいと思えるか。

そして、株主としてきちんと向き合える範囲か。

そのバランスを考えながら、これからも少しずつポートフォリオを整えていくつもりです。

奥野以道

タイトルとURLをコピーしました